華麗なるビョーキ野郎

The Great Schizoid Man

ロング・グッドバイ ☆☆☆

1973年  カラー  シネマスコープサイズ  111分

監督  ロバート・アルトマン    『M★A★S★H』 『ザ・プレイヤー』 『ゴスフォード・パーク』
出演  エリオット・グールド     『・・・you・・・』 『オーシャンズ11』シリーズ
     ニーナ・ヴァン・パラント  『ウエディング』 『アメリカン・ジゴロ』
     スターリング・ヘイドン   『アラモの砦』 『現金に体を張れ』 『博士の異常な愛情』

レイモンド・チャンドラー著した小説、『長いお別れ』の映画化。
私立探偵フィリップ・マーロウを主人公とする感傷的なミステリー。
時代背景と筋立てに脚色を加え、監督自身の解釈で描いた作品。

筋立てだけを見ると、何とも単純で陳腐な物語である。
しかし、そこに登場する人物の苦悩、葛藤、欲望。それらが犇めくように前面に押し出されてある。
元来、原作小説であるフィリップ・マーロウ,シリーズ自体がそういうコンセプトであるから、
そういう意味では原作の魅力を巧く引き出せている映画だと言える。
しかし、他の様々な部分を加味すると、原作のファンには少々つらい映画であった。




まず、アルトマン的な演出は、ミステリーというジャンルにおいては効果的と言えない。
何故ならストーリー展開そっちのけで、映画全体の雰囲気や人間描写に重きを置くからである。
上記した映画も含め、『ニューヨーカーの青い鳥』『ゴッホ』『カンザス・シティ』などなど、
俺は色んなアルトマン映画を見てきたが、全ての映画においてストーリーそっちのけ。
例えば取留めのない日常を描いた映画なら、そういう演出も良いだろうが、
ミステリーでそれをされると、銀幕の中で起こっている出来事を飲み込み難くなる。

それに、余計な遊びが多かったように思える。
無意味に主人公が車に撥ねられてみたり、そこから担ぎ込まれた病院にミイラ男が寝ていたり。
クスリでキメているのかのような、半裸で体をくねらせる隣人達。
貫禄も怖さもヘッタクレもない、お粗末で間抜けなギャング達。
そんなものに尺を割くぐらいなら、もっと他に描くべきものがあるだろう。

あと…主演のエリオット・グールドは悪い役者ではないが、
小説のフィリップ・マーロウ像とは違いすぎた。俺の勝手なイメージだが。
何だかボンクラっぽい顔つきだし、気概も根性も無さそうだ。
小説でも確かにゴツいイメージではないにしろ、もっと喧嘩の出来そうな男という感じだったが…。
っつーかさ、煙草吸い過ぎ。『コンスタンティン』を思い出した。

とにかく、俺を含めたマーロウのファンにはイマイチな出来。
主演俳優のイメージが違うという意味では、ロバート・ミッチャム版も同じだが、
映画の内容としてはそっちの方がマシだろう。

そうでない方には、やはり二度見ることをオススメする。
登場人物の心の動きが深く理解でき、深い感慨に浸れるだろう。
  1. 2007/04/15(日) 00:44:56|
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